目次
編集ライター大月和人
制作ディレクター暦16年
博報堂グループ出身。企画・撮影・編集・動画マーケティングまでの一連の映像制作に携わる。特に、スチール映像には定評がある。出身は福岡県。学生のころから自動車撮影や科学技術のCG作成に興味を持つ。実績クライアントに旭化成・ソニーなど。趣味は横浜・京都の観光めぐり。
1. 業界人にズバリ聞く!映像制作・動画制作の料金相場
業界人にズバリ聞きたい映像制作・動画制作における料金の相場。ディレクター歴12年の私大月が解説していきます。
映像制作を企業に依頼すると、5万円~500万円を超えるものまで様々。
「え?なんでこんなに違うの?」と思う方も多いことでしょう。よく「キャスト(役者)」によって違うだとか「撮影規模(かかった人数や日数)」日数によって変わるなどと言われます。映像制作会社の料金にはこうした原価の部分が反映されているので、これらのコストはある程度見える化されていると思います。私もかつて大手の広告代理店に在籍していた時は、芸能プロダクションのキャスト費用はクリエイター単価は見積に必ず記載するようにしていました。
WEBムービーなどの簡易的な撮影、CGやアニメーションを駆使した高度な映像、そして有名人やタレントを起用したテレビCMまで映像制作には様々なジャンルがありますが、大きくわけると以下の料金相場で考えて下さい。
インタビュー撮影 | WEBムービー制作 | 企業PR映像 | テレビCM |
---|---|---|---|
30万~45万円 | 40万~90万円 | 45万~150万円 | 100万~500万円 |
私がかつて在籍していた大手の広告代理店では1000万以上の映像プロジェクトもざらにありましたが、過去20年で多くの映像制作会社が誕生し、料金相場は下がっていきました。 2019年現在では相場は20年前の2000年と比較して40%程度と考えてよいでしょう。これにはカメラなどの機材の小型化、品質の改良と低価格化、そして制作スタッフの外注体制が各社整ってきたことによります。したがって、価格相場が下がっているからと言ってクオリティーが下がっているわけではありません。ジャンルと予算にあわせてまずは価格帯を検討するとよいでしょう。
2. 50万~300万円の価格帯の違いをイメージしよう
個人のウェディング動画や低予算(30万円以下)の撮影編集をのぞいた、発注のボリュームゾーンはおよそ50万~300万円程度です。 それぞれの違いをよくおさえることで、「自分が必要としている動画」と「支払うべき料金」のバランスをとるようにしてください。料金は必要以上でも以下でもないことが理想的です。
50万~100万円
こちらの料金帯域では、プロとしての最低限のデザイン性やアニメーションそして企画力が生かされているものがほとんどです。その質感やテイストにおいても30万円以下の発注では再現することは難しいでしょう。
Crevo社制作:トレインチャンネル用動画
映像制作REX制作:商品プロモーション映像
100万~250万円
100万円以上の費用になると、ワンランク上の映像作成が可能です。その代表的なものとしてコンピューターグラフィックスや、オリジナルキャラクターのモーション(動き)が作成可能となるなど、より独自性の高い映像を作ることが可能になります。
(株)プルークス制作:バンパー広告用WEBCM
映像制作REX制作:商品説明用映像
250万~500万円
この価格帯では、3DCG等の最新の表現技術も使えるようになり、テレビCMとして活用できるような、クオリティの高い映像を作ることが出来ます。
ヒューマンセントリックス社制作:未来を表現するブランディング動画
映像制作REX制作:事業内容紹介・プロモーション動画
いかがでしたか?
料金表のイメージがなんとなくわかったところで、次は見積もり表中の単価相場を理解していきましょう。
3. 最大10倍の違い?単価編
全く同じ動画を作るのでも、大手と小さな動画制作会社では料金が違います。その一つの大きな要因は人件費です。私がかつていた大手広告代理店ではだいたい1人日(ディレクターが1日稼動した費用)が12万円でした。もちろん、実績のある人や有名なクリエイターであれば40万円~50万円かかることも珍しくありません。
逆に実質1人でやっているような小規模な動画制作会社であれば1人日4万円程度のケースもあると思います。実際納品する内容は同じなわけですから、なんだか損をした気になりませんか? いいえ、高いには高いなりの理由があるのです。
4. 大手と低価格映像制作会社のどちらがよいか
実際に同じ内容でも見積や単価に開きがある場合どうすればよいのでしょうか。ちゃんと判断するには、なぜこれほどに単価が異なるのかその理由を知る必要があります。
単価が高い理由の1つが管理のレベル。
大手企業の動画制作となると想定していないトラブルや1日の遅れも許されません。また修正に対するスピーディーな対応も要求されることでしょう。小規模な動画制作会社であれば1人のディレクターが5件以上同時に兼務することもしばしば。その分トラブルが発生してしまったり想定していた納期より遅れてしまったりということがあるのです。
単価が高いもう1つの理由が発注者側の人的コストがかからないことです。小規模な動画制作会社では効率化、管理がすすんでいないことが多く、ディレクターの肌感覚で映像をつくってしまうことがほとんど。その結果、イメージしていたものから遠くなってしまうことや、そのせいで修正回数や余計な工数が増えてしまうこともあります。
単価が高い最後の理由はそれぞれの人の経験値です。例えば中堅の制作会社(20人以上)のディレクターであれば大企業との取引の経験が少なくありません。そうした経験の中で、動画マーケティングやトレンド、問合せを得やすいストーリー構成などをよく理解しています。かつ顧客の商品やサービスの魅力を十二分に引き出しながら、想定以上の成果を生むこともあります。
【業界㊙】映像・動画制作の見積もりと料金表を徹底解説
5. 少しでも費用を安く抑える工夫
これまで話してきたように、映像制作の費用はほぼ人件費で成り立っています。
以下のような工夫をすることで、少しずつ費用を安くすることが出来ます。
- 台本・原稿を自分たちで用意する
- 提供できる動画・画像等の素材を用意しておく
- 修正の回数を出来る限り少なくする
近年、安価で高性能なカメラも販売されているため、自然光が入り、撮影の難しいロケーションでなければ、自分たちで撮影を行い、素材を用意することはそれほど難しくないでしょう。素材を用意し、編集と追加撮影を制作会社に依頼すれば、グッと費用を抑えることが出来ます。
また、ナレーション等の原稿は、特別なソフトや機材が必要なく、どなたでも作成可能です。
このように、出来る限り自社内で構成や素材を用意し、足りない部分を制作会社に依頼する事で、大きくコストを低減できるはずです。
6. カギは予算と自分の判断
予算がふんだんにあるのであれば、サービスのよい会社に頼んだ方がよいですが、必ずしも予算が潤沢にあるわけではありません。時にはコストカットをして切り詰めなければならない時もあると思います。
もしあなたが日ごろの業務が忙しく、かつ失敗が許されない立場にいる場合は、しっかりとした制作会社に発注するとよいでしょう。その方がリスクが低く手間がかからない上に、確実な社内での評判と動画マーケティング効果を期待することが出来ます。
逆に時間的に余裕がある場合や、失敗してもやり直しがきく場合、また自分から積極的に時間を使って二人三脚で映像制作をしようと考えている場合は、小規模な動画制作会社がおすすめです。ディレクターと関係を深めて信頼関係を築いていけばきっとよいものができることでしょう。
要は、自分の状況やケースに応じてベストな業者を選ぶことができること。 先ほどの価格表ごとのイメージをしっかりもちながら、映像制作にトライしてみてください。